「夜のドライブ」
夜の峠道。
すれ違いざまに、対向車のヘッドライトが
パッと目の前を照らす。
一瞬、僕はたじろぐ。
アクセルを戻し、
ブレーキにそっと足をかける。
できるだけ目をそらす。
でも、
道を見失わないように、必死に目を凝らす。
「眩しいっ!」
思わず声が漏れそうになる。
「なんだよ、眩しいじゃないか」
「ライト上がってんじゃないの?」
「ハイビームかよ……」
「迷惑なやつだなぁ」
湧き上がる怒り。
止まらないイライラ。
しばらくそのまま引きずってしまって、
別の車とすれ違うたびに
さっきの“あいつ”を思い出す。
そしてまたムカつく。
【きまメ的思考:お互い様理論】
「眩しいっ!……(くそお……)」
とっさに出た心の声。
でも——
“いや、ちょっと待てよ。” と気づく。
「峠道では、向こうも眩しいはずだ。……これはお互い様だね。」
「もしかしたら、ハイビームに気づいてないだけかも。
……あ、そういえば自分も昔、ライトを下げ忘れてたことがあったな。
そのとき、許してくれた人がいたっけ。」
そう思えた瞬間、
怒りがふっと和らいでいく。
また快適なドライブに戻れる。
きまメって?
“きまメ”を続けていると、
日常のイライラやガッカリが
するすると溶けていく感覚がある。
心の中で起こる「反応」に、
ほんの一瞬の「気づき」を挟むだけで、
世界の見え方が変わる。
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